お金に関すること
- 財産分与について ~夫婦の財産はどう分けるの?~
- 慰謝料について ~慰謝料はいくらもらえるの?~
- 年金分割について ~夫婦の年金はどうなるの?~
- 婚姻費用について ~別居中の生活費はもらえるの?~
- 養育費について ~離婚後の子どもの養育費はいくらもらえるの?~
財産分与について夫婦の財産はどう分けるの?
財産分与とは、結婚生活の間に夫婦が協力して築いた財産を、離婚の時に分けることです。
財産分与の対象になるのは、夫婦の共有財産だけなので、夫婦それぞれの個人の財産(特有財産)は含まれません。結婚前に溜めた預金や、結婚時に実家から持ってきた嫁入り道具、結婚中に自分の親や兄弟が亡くなったことによって相続した財産などは特有財産とされ、財産分与の対象にはなりません。
将来もらえる退職金が財産分与の対象になるかどうかは、ケースによって判断が分かれています。
財産分与の割合については、それぞれ2分の1ずつとされることが多いですが、個別の事情によっては違う割合になることもあります。
財産分与をするかどうか、どういう方法でするのかは、まずは夫婦2人の協議(話し合い)で決めるのが原則です。協議で折り合いがつかない場合は、離婚調停を申し立てて、調停手続の中で話し合いをして決めることになります。調停でも財産分与について合意が調わないときは、審判もしくは裁判で決着をつけることになります。
財産分与は離婚後に請求することもできます。ただし、離婚から2年以内に限られます。また、一度離婚届を出してしまうと、財産分与の請求をしても、相手方が支払いを渋ったり、そもそも話し合いのテーブルにつかなかったりすることが多いので、財産分与についても離婚時に話し合い、離婚届と引き替えにお金をもらったり、不動産の移転登記を済ませておくと良いでしょう。
慰謝料について慰謝料はいくらくらいもらえるの?
慰謝料とは、精神的苦痛に対する損害賠償として支払われるお金のことです。
慰謝料は、離婚すれば必ずもらえるものではありません。離婚について責任がある(悪いことをした)側から相手方(被害者)に支払われるものなので、性格の不一致などで離婚した場合や、お互いの責任が同じくらいの場合にはもらえません。
離婚における慰謝料の額は、以下のような事情をふまえて総合的に決められます。
- 行為のひどさ・精神的苦痛の大きさ(長期間にわたる不貞行為や、暴行が反復継続していた場合は高くなる)
- 結婚していた期間(長いほど高くなる)
- 支払う人の経済状況(収入・資力が大きいほど高くなる)
- 財産分与の額(少ないほど高くなる)
年金分割について夫婦の年金はどうなるの?
離婚時の年金分割とは、夫婦間の年金額を決められた割合により分割する制度です。
「年金分割をすれば、相手の年金の半分がもらえる」と誤解されている方が多いのですが、分割の対象は厚生年金・共済年金部分だけであり、国民年金部分は対象となりません。
年金の仕組み
また、夫だけではなく、妻の分も含めた厚生年金・共済年金を2人で分割するので、夫よりも妻の方が、積み立ててきた厚生年金保険料が多い場合(例えば、夫が自営業、妻が会社員のケース)など、年金分割をすると、妻の年金の一部を夫に分割しなければならないケースもあります。
年金分割には2つの制度があります。
- 合意分割(平成19年4月開始の制度)
婚姻期間中、お互いに加入していた厚生年金・共済年金について、夫婦2人の合意の上、50%を限度として分割をする制度です。 この制度を利用する場合、まず社会保険事務所に情報提供の請求をし、必要なデータ(分割の対象となる期間等)を入手するところから始まります。そのデータをもとに、年金分割の割合について夫婦で話し合い、合意した内容を公正証書にして初めて、社会保険事務所に年金分割の請求ができるようになります。夫婦で話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所に調停または審判を申立て、割合を決めてもらうことになります。 分割の対象は婚姻期間であり、平成19年4月以前の期間も対象になります。 - 3号分割(平成20年4月開始の制度)
平成20年4月以降の第3号被保険者期間の相手の厚生年金・共済年金について、第3号被保険者の請求により、強制的に2分の1に分割する制度です。 第3号被保険者とは、サラリーマンの夫(妻)に扶養されている妻(夫)のことです。 合意分割と異なり夫婦間の合意は不要で、社会保険事務所に請求をすれば強制的に分割されます。ただし、平成20年4月以降の第3号被保険者期間に限られます。
どちらの制度にも、請求期限(離婚をした日の翌日から2年以内)があるので、注意が必要です。
婚姻費用について別居中の生活費はもらえるの?
婚姻費用とは、結婚生活でかかる費用のことです。夫婦と子の生活費、養育費・教育費、交際費、医療費、出産費用などが含まれます。
婚姻費用は、夫婦で分担するものと決められています。
夫婦が別居しても、結婚は継続しているので、一方が生活に困窮しているときは、他方に婚姻費用を請求できるのが原則です。
婚姻費用の分担が話し合いでは決まらない場合や、話し合いが困難な場合、裁判所に調停または審判を申し立てることができます。
婚姻費用の額については、東京・大阪の裁判官が共同研究で作成した婚姻費用算定表が、婚姻費用算定の目安として広く使われています。
- 子どもの人数と年齢から、あなたに合った表を選びます。
- 婚姻費用を支払う側の年収を縦軸で確認します。
給与所得者は、源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)が年収に当たります。他に確定申告していない収入がある場合には、その収入額を年収に加えてください。
自営業者は、確定申告書の「課税される所得金額」が年収に当たります。実際に支出されていない費用(基礎控除、青色申告控除など)も年収に加えてください。 - 婚姻費用をもらう側の年収を横軸で確認します。
- ②と③が交わったところが、婚姻費用の標準的な月額です。
養育費について離婚後の子どもの養育費はいくらもらえるの?
養育費とは
養育費とは、離婚のとき、子どもの生活費・教育費などについて、子どもを養育しない方の親が、自分の分担分を支払うものです。
離婚して、親権者でなくなっても、親の子どもに対する扶養義務はなくなりません。「自分は親権者ではないので、養育費は支払わなくてもいい」というのは誤りです。
- 養育費の支払いは子どもが何歳になるまで?
個々のケースや事情によって異なってきます。成年(20歳)に達するまでとすることが多いようですが、子どもが4年制大学在学中または進学を強く希望している場合などで、養育費を支払う親の経済状態や学歴によっては、大学卒業までとされることもあります。 - 金額は?
東京・大阪の裁判官が共同研究で作成した養育費算定表が、養育費算定の目安として広く使われています。
- 子どもの人数と年齢から、あなたに合った表を選びます。
- 養育費を支払う側の年収を縦軸で確認します。
給与所得者は、源泉徴収票の「支払金額」(控除されていない金額)が年収に当たります。他に確定申告していない収入がある場合には、その収入額を年収に加えてください。
自営業者は、確定申告書の「課税される所得金額」が年収に当たります。実際に支出されていない費用(基礎控除、青色申告控除など)も年収に加えてください。 - 養育費をもらう側の年収を横軸で確認します。
- ②と③が交わったところが、養育費の標準的な月額です。