栃木県北地域の頼れる弁護士 弁護士法人 おおるり総合法律事務所

相続問題

相続の手続について

相続手続の流れ

相続は被相続人(=相続される人)が、亡くなったときから開始されます。
相続については、民法上細かい規定もありますが、基本的には遺言をはじめとした被相続人の意思を尊重する制度や相続人たちの意思を尊重する制度(遺産分割協議など)によって手続が形作られています。
下記の図は相続手続の流れを簡単にまとめたものです。

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相続の開始

被相続人が死亡すると、その瞬間からその人が所有していた財産や権利などプラスの財産と、負債などのマイナスの財産、すなわち相続財産は全て相続人のものになります。
そして、遺言がない場合には遺産分割協議がまとまって名義変更等の手続をするまでの間は、相続財産は相続人全員の共有財産となります。
共有財産となるということは、相続人全員が同意しなければ処分することができなくなることを意味します。つまり相続人が複数いる場合には、その一人が相続財産を勝手に処分したり独り占めしたりすることは許されないのです。

遺言の検認

公正証書遺言以外の遺言書がある場合、その発見者や保管者は家庭裁判所に、「遺言書検認の家事審判申立書」を提出しなければなりません。
ここでいう検認とは、家庭裁判所が相続人や利害関係者の立会いのもとで、遺言書を開封して、その内容を確認することです。
もっとも、検認自体は、遺言書の変造や偽造あるいは紛失を防ぐための手続に過ぎず、遺言書の内容が、有効か無効かを判断するものではありません。
検認の手続は家庭裁判所で行う必要がありますが、手続自体はさほど難しいものではありません。上記の申立書を提出した後は、期日が決まり、関係者はその期日に家庭裁判所へ出頭するだけです。期日当日の手続の内容も、遺言書を開封して、用紙、枚数、筆記具、日付、筆跡、訂正箇所の署名・捺印の状況や遺言書の内容を簡単に確認して、その確認をした旨の調書が作成されるだけです。
なお、検認に立ち会わなかった相続人や利害関係者にも、検認が終了したことが通知されます。

相続人調査

相続人が誰になるのかということは必ず把握しておかなければなりません。これが相続手続の第一歩であり、今後の全ての手続に影響する重要な事項となります。
もし、相続人調査が不十分であると、折角作成した遺産分割協議書が無効になってしまったり、名義変更の手続ができなかったりと様々な弊害が生じる可能性があります。
相続人の調査方法は、被相続人の死亡から出生まで戸籍謄本等を全て取り寄せ、その内容をもとに、誰が相続人になるのかを判断することになります。
なお、この際に修習した戸籍謄本等は、銀行等の金融機関の預金の解約手続や不動産の名義変更などにも必要なものなので、複数分取り寄せを行った方が良いケースも多いです。
シンプルな家族関係であれば、戸籍謄本等の取り寄せも簡単で、一般の方でも相続人を確定することはさほど難しくはありません。
しかし、親族関係が込み合っている、疎遠となっている親族が相続人になる可能性があるなど、相続人の確定に不安を覚える場合には、弁護士に相談することをお勧め致します。

「誰が相続人になるのか」についてはこちら
「誰がどれだけ相続できるのか」ついてはこちら

財産調査(遺産目録の作成)

被相続人のプラスの財産とマイナスの財産の内容と金額を正確に把握するため、財産調査の結果をもとに遺産目録を作成することは、その後の手続をスムーズに進めていくためにとても重要です。
また、相続するか相続放棄するかの判断の基礎になるものですから、原則として被相続人死亡後1~2か月以内に作成するのが望ましいでしょう。
遺産目録の作成にあたっては、不動産登記を取り寄せたり、銀行等の金融機関から出入金履歴を取り寄せたりして、正確な資料をもとに作成しなければなりません。
こうして作成した遺産目録は、遺産分割協議書に添付したり、相続税申告の中心的な資料となったり、相続手続で利用される場面は多いです。また、遺産目録を相続人や関係者にも交付し、遺産に関する正確な情報が相続人、関係者間で共有することは、トラブルを回避することにもつながります。
よくあるトラブルが、被相続人と生前生計を共にしていた相続人の一人が遺産の内容を明らかにしない、あるいは明らかにしていないと感じられてしまうため、遺産分割協議が全然進まず何年、何十年と膠着状態が続いてしまうといったケースです。こうしたケースは遺産目録の作成を十分に行わなかったことにも原因があるように思われます。
遺産目録は特に決められた様式はありませんが、やはり素人の方が作成したものは不備が多いことは否定できません。最悪、相続人の一人が手書きで何か所も訂正が入っているようなものが作成されれば、それだけで信用性を失い、トラブルの火種となってしまいかねません。
遺産の内容が複雑な場合や不動産が複数ある場合など、素人では遺産目録の作成が難しそうだと思われたら、そうした書面作成のプロである弁護士に依頼した方が良いでしょう。
相続手続の初期段階で弁護士に依頼することは、遺産の全内容を早期に把握することにつながり、不当な遺産の隠蔽・費消行為などを防止することにも役立ちます。

相続方法の選択

相続人と遺産の概要が把握できた時点で、各相続人は遺産について、相続をするかしないかの判断が迫られることになります。

具体的な相続方法についてはこちら